【AKITA×スタートアップ 交流イベント「0次会!」】
秋田県では、2024年4月からスタートアップ・エコシステム形成に向けた取組が本格的にスタートします。それに先立ち、県内外のスタートアップやスタートアップを志す人、支援者が交流するプレイベント「0次会!(ぜろじかい)」を、現地会場とオンライン配信のハイブリッドで2024年3月27日に開催。イベントでは、秋田県が取り組んでいくスタートアップ支援方針についての発表やトークセッション、参加者同士の横のつながりをつくるための交流会が行われました。
トークセッションで紐解く「秋田×スタートアップ」のキーワード
「0次会!」の後半では、秋田に縁のあるスタートアップ関係者によるトークセッションが行われました。テーマはずばり「なぜ今、秋田でスタートアップ?」です。
【登壇者】
- 株式会社MTG Ventures
代表取締役 藤田 豪 氏【モデレーター】 - JR東日本スタートアップ株式会社
代表取締役 柴田 裕 氏 - 株式会社LibertyGate
代表取締役 菅原 魁人 氏 - 株式会社アジラ
取締役CTO 若狭 政啓 氏 - 秋田県副知事 猿田 和三
テーマについて、登壇者からさまざまな視点から意見が出されました。
「単に雇用を増やしても人口減少は止まらない。魅力ある産業が増えなければ、秋田に若者が残らない」「スタートアップは課題があるところに生まれる。課題先進県の秋田には可能性しかない!」などの意見が上がる中、会場のみなさんが大きくうなづいていたのは、藤田さんからの”危機感”についての言葉でした。
「人口減少が止まらない中、このまま現状維持だけしていても秋田はなくなってしまいます。世界を見渡してみると、スタートアップが増えている国は”明日生きていられるか分からない”という危機感がある地域ばかり。秋田には危機感が足りないんです!」
その言葉に付け加えるように、柴田さんからは「危機感と同じく、ふるさと愛も大事です。魅力的な産業があれば大好きな秋田で暮らしたいのに、と思っている人は多い。そういう産業をつくることができるのが、スタートアップなんです」というお話も。
秋田の存続に対する危機感、そして生まれ育ったふるさとへの愛が、秋田でスタートアップを進めていく時のポイントになりそうです。
秋田県のスタートアップ支援「AKISTA」が生み出すもの
令和6年度から始まる秋田県のスタートアップ支援「AKISTA」。トークセッションは、このAKISTAで何ができればいいのかについて話が展開しました。
秋田高専出身で現在首都圏のスタートアップのCTOである若狭さんからは、「秋田の若者がなぜ起業しないかというと、圧倒的に情報が不足しているから。周りにスタートアップがいないので、選択肢として挙がってこないだけ」といった視点が提供されました。スタートアップに対する理解を広めるための情報発信もAKISTAの重要な役割になります。
秋田大学在学中に起業し、スタートアップの実践者である菅原さんからは、「県内だけで急成長をしていくのは難しいので、自ずと県外市場に打って出るタイミングがある。その際に、AKISTAの”認定スタートアップ”という制度を使うと売り出しやすい」という具体的なメリットのお話もありました。
トークセッションの最後は、会場とのクロストーク。秋田県立大学の高田先生からは、「秋田の人口減少は避けられない事実。この事実に立ち向かうために、一人一人が主体的に”秋田をこうしたい”と話ができる場をAKISTAで創っていきたい」と、AKISTAへの想いが語られました。
最後に猿田副知事から、「秋田県はここから、スタートアップ支援をスピード感を持ってやっていく。やれない理由が出てきても、どうすればできるかを一生懸命考えて支援していきたい」と力強い言葉が。会場からも大きな拍手が送られました。
AKISTAへの期待の声多数!
トークセッション終了後は、参加者が自由に話ができる交流タイムが設けられました。現地参加者約70人が交流を行う中、少しお時間をいただいて、登壇者や参加者に感想を伺いました。
株式会社LibertyGate 代表取締役 菅原 魁人 氏
「今日のキーワードは”当事者意識”でしたね。一人一人が主体性を持って動こう!という共通認識を持てた日になったと思います。エコシステム構築に向けた枠組みの立ち上げは有識者たちが担ってくれましたが、ここからはみんなで関わりを深めて、エコシステムの循環を目指す段階。スピード感を持って進めて行きたいですね。
個人的には自分の会社でやりたいことがたくさんあるので、AKISTAとどう関われるのかも一緒に考えていきたいです。自分の事業も、このコミュニティも、共に成長していけたらと思っています」。
ノースアジア大学 学生 樋渡 海斗 氏
「私は今まさに、起業の準備を進めています。県内の起業家の先輩たちに影響を受けて、事業を起こそうと考えました。今日は、民間と行政が一緒になってスタートアップ支援について話すいい機会でした。これまでも県内起業家の集まりはありましたが、AKISTAは県内外の幅広い人たちが集まれるコミュニティになることを期待しています」。
一般社団法人Sail on Japan 代表理事 奥 真由美 氏
「今日登壇者の方が話されていた”危機感”を、私もずっと持っていました。今、横手市で空きスペースを活用したジェラート製造・販売の事業を、地元高校生と一緒にやっています。その中で感じているのは、スタートアップを目指す大人への支援と同じくらい、高校生のうちからアントレプレナーシップを学んでおくのが大事だということ。AKISTAにも、学生を巻き込んでいく仕組みがあればいいですね。若いうちから”自ら仕事を生み出すこと”や”秋田でもできるかも”という考え方がインプットされていけば、この地域の未来も変わっていくと思います」。
株式会社MTG Ventures 代表取締役 藤田 豪 氏
「消滅可能性都市である秋田を盛り上げていくためには、新しい産業をつくるしかないという思いでここまでやってきました。秋田の場合は、”スタートアップ”という言葉を目や耳から自然と入るようにする環境づくりからやらないといけません。いわゆる創業支援と、新たな産業を生み出すスタートアップは、全然違うんだということをちゃんと分かってもらわないと。
そういう意味で、AKISTAはわかりやすい”箱”になると思っています。このコミュニティには、本気で秋田のことを考えて行動する人が入ってほしいですね。そして、課題先進県である秋田で、”グローバルを見つつローカルから発信する事業”を徹底的にサポートしていきたいです。成長性だけにフォーカスするのではなく、”秋田ならでは”の事業をプッシュしていきたいと考えています」
スタートアップを志す学生・社会人やスタートアップ支援者が集った今回の「0次会!」。スタートアップ・エコシステムの創出に向けて、いよいよ始動するAKISTAのいい出発式となりました!