掲載日:2026.06.12

秋田県から全国、そして世界へ。県外スタートアップによる実証実験の軌跡

秋田県は「課題先進県」と呼ばれることがあります。
しかし、
それは裏を返せば「未来の日本、そして世界が直面する課題の解決モデルを、どこよりも早く創出できる最前線のフィールド」であるということです。 豊かな自然資源、課題解決に前向きな自治体や地元企業、そして実証に協力的な地域コミュニティの存在が、スタートアップの皆さまの挑戦を強力にバックアップします。
これまで秋田県を舞台に、どのような実証実験が行われ、どのような成果が生まれてきたのか。過年度の「県外スタートアップ実証支援事業」において採択された企業の実績をご紹介します。
秋田に来たことがないスタートアップの皆さまも、秋田から新しいビジネスモデルを生み出し、全国へと展開していく可能性をぜひ感じてください。

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【2025年度実証】

【2024年度実証】

2025年度 実証サポートスタートアップ

株式会社Rehab for JAPAN

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背景

日本は長寿国である一方で、平均寿命と健康寿命に差があり、不健康な期間が長いことが課題となっています。自治体が提供する従来の「介護予防運動教室」は、対面でのリアル開催が前提となっているため、移動のハードルや熱中症リスク、トレーナーの配置制約などにより、参加率の向上や開催頻度の拡大が難しいという構造的な課題がありました。

実証内容

秋田県大館市にて、高齢者113名を対象にオンラインとAIを取り入れた「ハイブリッド型介護予防教室」の実証実験を3ヶ月間実施しました。施設に集まってスクリーン越しに参加する形態と、自宅からタブレットで参加する形態を用意し、オンライン集団体操システム「Rehab Studio」を通じて理学療法士などの指導を提供しました。また、動作分析AI「Rehab Cloud モーションAI」を用いて、参加者の片脚立位や立ち座りテストの動画を解析し、事前・事後の身体機能を客観的に評価しました。

成果

参加者の満足度は非常に高く、施設集合型では約8割、自宅参加型では全員が肯定的な回答を示し、「続けたい」という継続意向も施設集合型で約9割、自宅参加型で約8割に達しました。また、モーションAIによる測定結果でも、5回立ち座りや片脚立位の秒数、足腰スコアが改善する結果が得られました。実証後、大館市内の複数の介護事業者から次年度の利用申し込みがあるなど持続可能なフレイル予防インフラとしての有効性が確認されました。

株式会社Archeda

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背景

日本は国土の約66%を森林が占めていますが、林業従事者は過去30年間で約70%減少し、高齢化と深刻な担い手不足に直面しています。森林管理は50年以上の長期にわたりますが、現場の情報は紙での保管に依存しており、人事異動や属人的な管理により、世代を超えた長期的な運用体制が整っていません。また、現場の詳細な情報が市町村や県に断片的にしか共有されず、全体像の把握が困難という課題がありました。

実証内容

能代市と白神森林組合の協力のもと、森林管理クラウド基盤「森ノート」の実証を実施しました。森林での伐採や造林の履歴、現場のコメントなどをクラウド上の地図ベースでデジタル化し、データベースとして一元管理する仕組みを構築しました。現場の担当者に実際に利用してもらい、使い勝手や業務効率化への受容性を検証しました。

成果

直感的で使いやすいUIが好評を得て、ITに不慣れな利用者にも受け入れられ、森林組合での実務活用の可能性が確認できました。一方で、システムのレスポンス速度の改善や、写真・図面など複合データの登録対応、地図上の可視化カスタマイズなど、本格導入に向けた具体的な改善ニーズが明確になりました。得られた知見は、将来的なAIによる最適な森林施業のサジェスト機能開発に繋がります。

株式会社みらい共創

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背景

秋田県は高齢化率が日本一であり、2030年までにこの状況から脱却することが目標とされています。若者の県外流出を防ぎ、県内への定着率やU・Iターン率を向上させるためには、中高大生のうちから地元企業や行政と出会い、協働できる教育・共創の仕組みを早期に構築する必要がありました。

実証内容

秋田県内の中高大生と法人・行政が出会い、企業の課題解決に向けて共に企画を立案する1DAYイベント「秋田CorpTouch vol.2」などを秋田市で開催しました。秋田ノーザンハピネッツや秋田銀行、秋田県庁などが参加し、「県民球団がつくるべき新産業」や「若者が住みたいと思える秋田にするには」といったテーマで、次世代の視点を取り入れたグループワークとプレゼンテーションを行いました。

成果

参加した法人・生徒ともに平均満足度が9点以上(10点満点)と非常に高く、双方ともに共創希望率100%を達成しました。また、この取り組みをきっかけに、地元企業(地域みらいブレインリンク)が秋田LISHへ入居を決定したり、イベントに参加した若者を実際に採用・育成候補生として受け入れたりするなど、人材定着と事業創出の具体的な成果を生み出しました。

株式会社クオトミー

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背景

外科系医療の現場では、手術に関する情報伝達や予定管理がいまだにアナログ(紙や電話、口頭など)で行われており、業務負荷や情報漏洩リスクが高い状態にあります。特に秋田県のような地方では、医師不足により一人あたりの業務負荷が高く、専門性の高い外科医が大学病院から地域の病院へ外勤(応援派遣)することで地域医療を支えており、この外勤をスムーズに行うための情報共有の仕組みが求められていました。

実証内容

秋田大学医学部附属病院から能代市の地域病院へ外勤する仮想の脊椎手術ケースを設定し、手術準備DXツール「OpeOne」を用いた実証実験を行いました。外勤先の常勤医師がツールを用いて患者のカルテ情報や画像、手術方針を登録し、大学病院にいる応援医師が事前に情報を確認してWEB会議で評価を行うことで、遠隔でのチーム医療支援が可能かを検証しました。

成果

「悩ましい症例の情報がタイムリーに共有されるか」「情報伝達の確認が煩雑か」「セキュリティ対策は十分か」といった課題に対し、5点満点中4点〜5点の高い解消度が示されました。情報を送る側の地域病院医師からも、「医療画像も扱えて情報共有が早い」「専門家とのコミュニケーションの質が高まる」と高く評価され、業務効率化と働き方改革を推進するツールとしての有用性が実証されました。

OUI Inc.

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背景

秋田県は約38〜40%という極めて高い高齢化率を抱えています。さらに眼科医が都市部に集中しているため、地方では通院が困難で医療アクセスが低下しており、未診断のまま放置されている眼科疾患が多いことが深刻な課題となっています。早期発見を専門医のみに依存しないソリューションが求められていました。

実証内容

秋田市および大仙市の高齢者(合計50名、平均年齢82.6歳)を対象に、市民講座を通じた眼の健康啓発と、スマートフォンアタッチメント型医療機器「Smart Eye Camera」を用いた医療機器体験を実施しました。同時に、ドライアイやVDT症候群に関する詳細な問診票(J-CVS-Smartなど)を用いて、自覚症状や生活への影響を調査しました。

成果

参加者の86.0%が眼に何らかの自覚症状を抱えており、75%が白内障であるという「超高齢化」の現実を反映した結果が得られました。この実証を通じて、参加者の91.8%が「眼の健康や疾患に対する意識が高まった」と回答し、88.0%が「来年も眼科健診があれば受けたい」と希望するなど、地方における医療機器を活用した啓発活動が極めて高い効果を持つことが証明されました。


2024年度 実証サポートスタートアップ

株式会社INGEN

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背景

温暖化の影響により、関東近郊では夏場の葉物野菜の栽培が困難になってきています。一方、秋田県は平野から涼しい地域まで多様な農地を持ち、春から秋まで長期間栽培できる可能性を秘めているため、関東のシェアを奪うチャンスがあります。しかし、足の早い青果で有利な契約出荷(予約販売)を獲得するには、毎日安定して出荷するための正確な収穫予測が不可欠でした。

実証内容

大仙市やにかほ市の米農家などの協力を得て、温暖化に強く高栄養価な「ソフトケール」の夏場栽培の実証を行いました。INGENの収穫予測・適地分析技術を用いて、「生産性(秋田で夏に作れるか)」「移行性(米農家が導入しやすいか)」「収益性(実際に儲かるか)」の3点を検証し、試食会や販路ヒアリングも実施しました。

成果

予測日数と実際の収穫日の誤差を「±1日以内」に収める予測式を完成させ、予測技術の有効性を証明しました。また、初期費用20万円以内で米作りの余剰人員を活用して開始できることが分かり、農家への移行性も確認されました。消費者アンケートから「野菜嫌いの子供でも食べられる」というニーズを捉え、ほうれん草よりも高い価格設定での販売モデルを構築し、実際の生産・販売開始へと結びつけました。

PGV株式会社

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背景

秋田県は65歳以上人口に占める認知症患者の割合が3.1%と全国で最も高い県です。しかし、医療機関での認知症や軽度認知障害(MCI)の検査は、高齢者にとって「不安」「恥ずかしい」といった心理的ハードルが高く、検査に時間がかかるため、早期発見や対処が遅れる傾向にありました。

実証内容

大館市の真中公民館にて、地域包括支援センターと連携し、「コグニサイズ教室」に参加する高齢者30名を対象に実証を行いました。PGVが開発した小型でワイヤレスな「パッチ式脳波計」を額に装着し、わずか5分間でMCI・認知症リスクをAIで判定しました。後日、レポートの返却と地域包括支援センターの職員によるフォローアップを実施しました。

成果

生活の場で手軽に検査ができる仕組みは非常に好評で、参加者の94.1%が「健康や生活スタイルを意識するようになった」と回答し、86.7%が「公民館での活動や認知症カフェに参加したい」と意欲を向上させるなど、明確な行動変容が見られました。さらに93.8%が「また受けたい」と回答し受容性の高さが証明されましたが、結果を踏まえた地域包括支援センターへのスムーズな接続方法については今後の課題として明確になりました。

KUROFUNE株式会社

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背景

秋田県は「特定技能」による在留外国人数が全国で最も少ない県です。県内企業からは深刻な人手不足により外国人労働者の採用を検討する声があるものの、周囲に外国人が少ないため受け入れ体制が整っておらず、大家が外国人への賃貸を敬遠するといった住環境の課題も壁となっていました。

実証内容

大館市の空き家を外国人向けにリノベーションし、特定技能労働者を受け入れるためのシェアハウスを整備しました。そこに国籍やビザを問わない外国人10名を体験宿泊させ、アプリ「KUROFUNE」を用いた生活支援を行いました。体験を通じて、外国人本人が住みやすいと感じるか、雇用企業が安心して住まわせることができるか、近隣住民との間でトラブルが起きないかを検証しました。

成果

体験宿泊した外国人からは「家具が揃っていて居心地が良かった」「装飾がおしゃれだった」と高い満足度(「満足」「やや満足」が多数)を得ることができました。一部「2階のドアが閉まらない」「エアコンをつけても寒い」といった設備面の改善点は見つかりましたが、動画を使った生活レクチャーや宗教への配慮(お祈りスペースの確保など)を含め、外国人が秋田で母国と同じように働きやすく住みやすい環境を構築するための具体的なノウハウと実証結果を獲得しました。

SOCIALPORT株式会社

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背景

東北地方を訪れる訪日外国人客数は過去最高を記録しているものの、秋田県の宿泊者数は東北6県の中で最下位にとどまっています。これは観光資源の不足ではなく、外国人目線での「知名度・認知度不足」が原因と仮説が立てられました。調査によると、訪日外国人の91.6%が「日本在住の自国民」から情報収集しているため、在留外国人インフルエンサーの活用がカギとなります。

実証内容

横手市をターゲットに、日本に定住する台湾人インフルエンサー5名を1泊2日の旅行に招待しました。台湾人旅行者誘客のための横手特化型観光メディア「YOKOTE Explorer(横手探検隊)」を立ち上げ、インフルエンサーが台湾人目線で「横手の雪洞(かまくら)」や「横手やきそば」、温泉などを体験し、作成した旅行記事やInstagram(リール動画やストーリーズ)を通じて母国に向けて発信しました。

成果

SNS発信を通じて、5名合計で15,000回以上の再生数と8,700以上のリーチを獲得しました。また、インフルエンサーからのフィードバックにより、「『横手鎌倉』という表記では伝わらず『雪洞』『雪屋』とすべき」「新幹線でのアクセス情報や切符の買い方を在日台湾人KOLにもっと発信してもらうべき」など、今後のインバウンド誘客に直結する具体的で有益なアドバイスを多数得ることに成功しました。

このページに関するお問い合わせ

  • 秋田県 産業労働部 新産業創造課 スタートアップチーム
  • Tel:018-860-2225