【AKISTA 2024年度 活動発表会】
2024年度から本格的に始動した、秋田県のスタートアップ支援「AKISTA(アキスタ)」。その1年間の成果を振り返る活動報告イベントが、2025年3月28日に開催されました。本イベントは、AKISTAに関わりのある起業家や支援者をはじめ、秋田県内外から100名以上の皆さんが参加し、現地会場とオンライン配信のハイブリッド形式で行われました。
秋田の課題をビジネスチャンスに変える!
イベントの幕開けは、秋田県産業労働部・佐藤功一次長の挨拶から。「秋田県は課題が山積みだが、それはビジネスの種が詰まった“宝の山”でもある。ぜひネットワークを広げ、新しい可能性を見つけてほしい」と、熱いエールが送られました。
続いて、秋田県商業貿易課より2024年度のAKISTAの取組実績が発表されました。以下の5つの支援策が実施され、スタートアップを切り口に、秋田に新たな動きが生まれた一年でした。
- オンライン相談窓口の開設:6月に開設し、県外スタートアップの実証実験の相談や、学生のビジネスアイデアのブラッシュアップなど、59者に活用いただき、延べ90件の相談を受けました。
- 相談・交流イベントの開催:県内外スタートアップや学生、支援者が交流できるイベントを、AKISTAパートナー等と連携して東京や秋田で開催しました。
- AKISTA認定制度の創設:秋田版スタートアップのロールモデルの創出を目指し、令和6年度は4社を認定し、伴走支援やPR支援を行いました。
- 県外スタートアップの実証支援:秋田を舞台に、新規ビジネスの実証実験を行う県外スタートアップを4社採択し、経費の補助や伴走支援を実施しました。
- サポート体制の強化:県内の市町村・金融機関・支援団体等を対象に、スタートアップの支援・協業事例から学ぶ勉強会を開催しました。
AKISTA認定スタートアップ4社の挑戦が、未来を創る!
次に、AKISTA認定スタートアップ4社が登壇し、それぞれの事業進捗を発表しました。
【AKISTA認定スタートアップ4社】↓クリックすると各社インタビュー記事へ
株式会社エス 代表取締役 秋元 衆平 さん
秋田県南部にある大仙市の発酵技術・糀文化を活かし、透明な甘酒「KOJI CREAR」を開発。県内事業者との連携で実現した、「健康志向の高まり」という世界トレンドを狙ったプロダクトです。海外を含む取引先が拡大する中、今後はBtoB事業にも力を入れ、日本の伝統食品の魅力を発信していきたいという想いが語られました。
株式会社このほし 代表取締役 小原 祥嵩 さん
合い言葉は「Shall we forest?」。秋田の豊かな自然から着想を得て、森林資源を活用する事業を展開。2024年10月にシード資金調達を実施し、所有林の相談サービスやオフグリッドの移動式宿泊ユニット「awake」をスタートしました。県外での事業展開も始まり、森林の新たな活用方法を提案し、経済価値を生み出すことを目指します。
株式会社Liberty Gate 代表取締役 菅原 魁人 さん
介護保険外サービス「アシスタ」で、高齢者支援の新たな仕組みを構築。適正なマッチングで低コストのサービスを提供し、この1年間で全国へのフランチャイズ展開を急速に拡大させました。高齢者が安心して暮らせる社会の実現を推進しています。
株式会社Local Power 代表取締役 寺田 耕也 さん
地方の潜在能力の最大化を目指して、多角的な事業を展開。主力商品の除菌消臭水「iPOSH」に止まらず、2024年は物流DXやメディカルDX、アクアポニックスの事業化、クラフト酒専用ハーブ生産などの取組を進めました。これからも新しい技術と地方資源を活かしたビジネスモデルを生み出し続けます。
秋田起点のビジネスモデル!県外スタートアップの実証成果
秋田県は、県外スタートアップが県内で実施する実証事業の費用を支援しています。 今年度採択された4社が、秋田での実証実験の成果を発表しました。
【県外スタートアップ4社】↓クリックで各社ホームページへ
株式会社INGEN 代表取締役 櫻井 杏子 さん
本社千葉県。「日本の農業を、生産者が稼げる業界にする」ことを目指し、独自の収穫予測技術や栽培モデルにより付加価値の高い作物の産地形成に取り組んでいます。今回は秋田の気候ポテンシャルを生かし、ソフトケールの生産性・移行性・収益性を検証。大仙市での実証を経て、今後はにかほ市にも実証エリアを拡大していきます。
PGV株式会社 事業開発部部長 遠藤 恒介 さん
本社東京都。脳波計と解析AIにより認知症の早期発見を目指す実証実験を、大館市で実施。市や地域包括支援センターと連携し、高齢者30名の協力を得て、脳波測定や結果返却、フォローアップまでの一連の流れを検証。高齢化率が全国で最も高い秋田から、認知症ケアモデルの確立を目指します。
KUROFUNE株式会社 代表取締役 倉片 稜 さん
本社愛知県。アプリを活用した外国人材紹介・生活支援で、外国人が働きやすい環境の構築を目指しています。今回は大館市の協力のもと、空き家を活用して外国人労働者が住みやすい住環境の提供を検証。全国で最も特定技能労働者が少なく外国人材の受け入れに課題のある秋田から、「空き家」「人手不足」の両方を解決するビジネスモデルの構築を目指します。
SOCIALPORT株式会社 代表取締役CEO 齋藤 英一 さん
本社東京都。ホテルや旅館をPRする在留外国人インフルエンサーのキャスティングSaaSを展開。今回の実証では横手市の事業者と連携し、在留台湾人インフルエンサーを活用した地域特化型観光メディア「YOKOTE Explorer」を構築。訪日宿泊者数が伸び悩む秋田県で、まずは横手市で成果を出し、他地域への展開を目指します。
イベント会場には実証で連携した県内の関係者もかけつけ、「秋田での実証実験を引き続き進めてほしい」「大館市を健康寿命のモデルにしたい」「横手市の魅力をもっと広めたい」など応援コメントが!秋田の課題を起点にしたビジネスモデルに、大きな期待が集まっていることが感じられました。



イベントの後半では、高校生から大学院生までの次世代を担う人材からの取組発表が行われました。その内容は、後編の記事でお届けします。
(取材:2025年3月28日)